BOOK
失踪日記/吾妻ひでお 
イースト・プレス社刊

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 数ヶ月前、朝日新聞の漫画評に取り上げられていた気になっていた単行本です。なかなか見つけることが出来なかったのですが先日近くの書店に入荷(2005年6月6日第7刷発行)していたのを発見。それも漫画棚ではなく、一般書籍のところにありました。
 初版が3月だから、3ヶ月で7刷の増刷は凄い(多分)。
さて、この本は、マニアックなファンも生みだし一世を風靡した漫画家「吾妻ひでお」がある日突然ドロップアウト(失踪、自殺未遂、ホームレス生活、日雇い労働者、アルコール中毒と強制入院)した当時のお話。ほとんどが書き下ろされた実話だそうです。

 さっそく、読んでみるととにかく面白い。彼の表現がもともと明るいギャグ漫画であるため、生々しく、悲惨でありながら、その感情に流されている暇などなく主人公の日常に飲み込まれていきます。
 ドロップアウトの原因について重く表現している訳ではありませんが、端的には漫画に自分の本当の表現をさせてもらえないことへの不満といらだちが自暴自棄な行動へと駆り立てたようです。ふと振り返るとその時残された家族や業界との人間関係が気になるのですが、こうして「失踪日記」として出版されていることで(読者側も)何とか救われるような気がします。(何故か、永島慎二の「フーテン」を思い出しました。)
 ここでは本の腰巻きの言葉が絶妙。ぜひ、内容と共に一読を。
続編も出版されるようですが、明るく語り継がれる悲壮な名著でしょう。(2005.6.12)