具体

2012年7月4日(水)−9月10日(月)

国立新美術館

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 前日に広島の知人が家に泊まりに来ていて「具体展」の話を聞いていたがいまいちピンと来なかった。新美術館近くのshounanday my galleryに行ったついでにオーナーの山本さんに様子を伺ったところ「大変良かった。珍しく2度行った。」とのことで、入館決定。入り口は故村上三郎氏の紙破りのパフォーマンスを再現したもので思わず頬がゆるむ。ただ今まで資料はあちこちで見ているので「新鮮さは感じないかな」という気持ちでのんびり見ていたが簡潔な説明と時代を追った展示内容に徐々に引きつけられていく。特に平面表現に移行した後期からの展開はあらゆる抽象表現の萌芽を思わせるような豊かさと同時に完成度も高いのに驚いた。1954年から1972年の18年間の活動は世界に誇れる「具体」であることに納得できる。図録もよく2000円はお買い得。本当にもう一度見たくなる展覧会。(鑑賞8.31/記9.1)


古茂田守介ふたたび、蘇った絵画
+古茂田美津子のワンダーランド

2012年7月14日(土)−9月2日(日)

目黒区美術館

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 古茂田守介(1918-1960)の名前を初めて知ったのは洲之内徹氏の著書「気まぐれ美術館」による。その中に「こもちゃんの食卓」として彼の人柄や交友関係が紹介されているが、名文のせいか作品も見ていないのに随分身近な作家の一人に感じたものだ。目黒美術館では1990年と1995年に回顧展が開催されて守介は一躍時の人になる。特に1995年の展覧会では火災で被害にあった代表作を完全に修復して展示したことで大きな話題になった。それは洲之内氏の著書にもよるが、何よりも奥さんの美津子さん(1921-2007)の支えによるところが大きい。画家であった美津子さんは守介と結婚すると同時に筆を置き彼を支え続け、守介の死後火災に遭った多くの作品も保管し続けてその修復に結びつけている。今回は守介の代表作と美津子さんの作品23点が展示されていてる。守介の作品は以前から知っていたが、驚いたのは美津子さんの作品がとても魅力的であること。1970年代までは少し表現が硬く守介の影響も垣間見られるが80年代以降になると軽やかで独自の不思議な浮遊感のある世界を表現するようになる。特に「風景、もうひとつの世界-3 島」はいい。95年に守介の全貌展を見ることができた美津子さんの気持ちはどれほどよろこんだことだろう。ただ、彼女の生前にこのような展覧会があってもよかったなあ。(鑑賞8.24/記8.25)

生誕百年
船田玉樹展

2012年7月15日(日)−9月9日(日)

練馬区美術館

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  船田玉樹(1912-1991)の作品に初めてであったのは昨年近美で開催された「日本画の前衛展」。丸木位里の作品(原爆を描く前)とともに最も印象に残ったのが玉樹の作品だった。今回は生誕100年ということでの回顧展で、交流のあった作家の作品も展示されている。ただし玉樹の展示作品のところどころに突然出てくるのでかなり戸惑ったりキャプションを確認しながら見ることになるので、彼らを一カ所に集めるような展示のほうがよかったかな。若い頃からさまざまにモチーフや構図、表現方法を変えながら求道者的な制作が続くのには驚かされる。しかし最も印象的で感動的なのは最晩年70歳を超えて描かれた枝垂れ桜や白梅紅梅などの作品。1974年くも膜下出血のため右半身が不自由となったが自画像を描くことから必死のリハビリを繰り返しこの晩年の作品へとたどり着いた。この作品群一見の価値あり。

 1912年広島県呉市に生まれる。1932年上京。1934年速水御舟の画塾に入門。御舟の死去により小林古径に師事。1944年故郷の広島に帰る。1963年院展を脱退1976年新興美術院を脱退。1991年急性心不全のため広島で死去。享年78歳。(鑑賞8.17/記8.19)

二条城展

2012年7月28日(土)−9月23日(日)

江戸東京美術館

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  二条城には何度か行っているが、その障壁画は残念ながら暗くてよく見えない。まして畳には踏み入れることができないので遠くからぼんやり眺めた記憶ばかり。今回はその二条城が改修中とあって計3000面といわれる障壁画の中から30面が展示されている。
 夏休み中とあって会場内はかなりの混雑。小学生が走り回っていたりして落ち着かないものの初めて間近で見られる障壁画はやはり素晴らしい。今度は改修後の二条城でぜひ見てみよう。それにしても3000面あるならパート2,3展やってくれないかな。   
(鑑賞8.17/記8.19)


奈良美智
君や僕にちょっと似ている
2012年7月14日(土)−9月23日(日)

横浜美術館

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  岡山からの帰り早かったので新横浜で降りて「とにかく一度見てみよう」という思いで横浜美術館へ。会場は予想したよりも人は少なくのんびりと鑑賞できる。今までの展示ではアトリエスペースの展示や幅広い素材とテーマを描くようになっていたと思っていたが、今回はほとんどが奈良美智女の子一辺倒。彫刻作品も全て同じで、どこを面白く受け止めるのか戸惑った。来館者は8割近くが女性。その中には作品に吸い込まれるように見つめる姿もちらほら 。会場を出た特設のグッズ売り場ではポストカードが飛ぶように売れている。それも女子高生から還暦を過ぎていると思える女性まで「これがかわいい」といいながら何枚も購入していたのが印象的。こちらは9割以上女性。現代美術が難解さを売り物にして大衆から敬遠されたことを考えればいい状況だとは思うが、こればっかりじゃつまらないなあ。やれやれ。(鑑賞8.10/記8.12)

菅茶山と化政文化を彩る
7人の巨人たち
ー菅茶山とその世界4ー

2012年7月13日(金)−9月17日(月)

広島県立歴史博物館

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  《博物館HPの解説より抜粋》
 文化9年(1812),一編の漢詩集が世に出ました。江戸時代の後期,神辺に在住した漢詩人・教育者であった菅茶山(かんちゃざん)による「黄葉夕陽村舎詩」です。この漢詩集によって,茶山はこの時代の「巨人」の1人として知られるようになりました。そして松平定信,伊能忠敬,塙保己一など,「化政文化の巨人」たちとも交流を深める大きなきっかけとなりました。展示では,茶山の代表作「黄葉夕陽村舎詩」とその題名にもなった彼が起こした塾・黄葉夕陽村舎(廉塾),さらには「黄葉夕陽村舎詩」を通じて見えてくる茶山が交流をもった「化政文化の巨人たち」とその業績などについて紹介します。また,今回,北海道を除く全国ではじめて,江戸時代の廉塾の姿を描いた蠣崎波響の「廉塾図」を特別展示します。
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 展覧会では松平定信、伊能忠敬、塙保己一の他大槻玄沢、谷文晁、中井履軒、田能村竹田の7人の他亜欧堂田善の作品も展示。説明資料が親しみやすい構成で丁寧な展覧会。(鑑賞8.8/記8.12)


生誕140年
平櫛田中展

2012年7月14日(土)−9月2日(日)

ふくやま美術館

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 平櫛田中については父から幼い頃よく聞かされた。作品よりも「今やらねばいつできる、わしがやらねば誰がやる」という田中氏の言葉は何度も聞いていた。小平と岡山の井原に美術館があるがどちらにもまだ一度も行ったことはない。田中氏の仕事にほとんど興味を持ったことがないからだが、今回初めて多くの作品に接してみて改めて自分の興味の持てる世界ではないことがよくわかった。ただし批判ではなくあくまでも「興味がない世界」ということ。(鑑賞8.8/記8.12)

平清盛
平家物語絵巻の世界

2012年8月3日(金)−9月30日(日)

林原美術館

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  展覧会のタイトルは大河ドラマにあやかって「平清盛」だが、展覧会自体は平家物語絵巻の36巻全巻展示。不人気ドラマのタイトルよりも絵巻としてのタイトルを全面的に出した方がいいと思うほど見応えがのあるいい展覧会。土佐佐助による江戸時代の絵巻は表現は素朴ながら色彩は鮮明で印象的な場面構図で構成されていて楽しめる。前期と後期で絵巻の場面入れ替えがあるので是非とも見たいもの。解説文が小さくて見にくいのが残念。(鑑賞8.4/記8.12)

倉敷市立美術館の油彩画

2012年7月14日(土)−8月26日(日)

倉敷市立美術館

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 市立美術館所蔵の油彩画展。地方美術館なので岡山に関連する作家が多いのは当然だが、古きよき時代の油彩画も少なくなく楽しめた。
 出品作家:池田遙邨(油彩画)、赤松麟作、麻生三郎、猪熊源一郎、大島勲(岡山大学での担当教授)、岡本唐貴、児島虎二郎、小林和作、斎藤真一、坂田一男、杉全直、津高和一、寺松国太郎、堂本尚郎、難波田龍起、杢田たけを、柚木久太(地元玉島の作家)他。特に印象的だったのはやはり坂田一男氏の7作品。初期の「裸婦」は好きな作品の一つ。9月から館所蔵の日本画が展示されるがそちらの方も興味津々。(鑑賞8.4/記8.12)