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BOOK
「泡沫傑人列伝〜知られざる超前衛」秋山祐徳太子 二玄社

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秋山祐徳太子

1935年生まれ
60年武蔵野美術学校彫刻家卒業。65年岐阜アンデンパンダン・フェスティバルに自分自身を出品。ポップ・ハプニング(通俗行動)と称し、ハプニング活動を行う。75,79年政治のポップ化をめざし東京都知事選に立候補。(本書巻末資料より抜粋)

 秋山祐徳太子という名前は以前から知っていましたが、過激アンダーグラウンドという感じで、かなり怖い(危険な?)イメージがありました。
 そのとおり氏のパフォーマンスは通俗的でありながら、最も通俗を蔑視しているようなものでしたが、画廊で話している雰囲気や偶然バスの車内で二言三言話した印象は柔和で純粋に「面白い」人という印象でした。
 ただし、声がでかい。その風貌そのままの声で、明るくかなり大声でお話になるため、空気はすぐさま「祐徳太子ワールド」に変貌していました。
 反面、氏がずっと制作している「ブリキ彫刻」は仏像や騎士など様々な形態で表現されながら、一貫してユーモラスで暖かい雰囲気です。氏の作品にもありましたが(失礼ながら)「ドンキ・ホーテ」という形容が作品にもご本人もピッタリという感じかな。

 そんな氏が記した本書は40年に渡る「秋山祐徳太子過去帳」または「秋山祐徳太子交友録」といった風で、必ずしも「美術」の枠組みにこだわっている訳ではないので、読み物とし純粋に楽しめました。

 「泡沫芸術家」として登場するのはアーティストを始め、飲み屋の主人、料理人、看板娘、泡沫候補等々。
 それらの人の人生は痛快でもあり、ほろ苦くもあり、また悲しくもあり・・・。
 
 様々な傑人たちの生き様を読みながら、結局「傑人」中の「傑人」は氏自身であると感じられることがまた可笑しい。

 氏の暖かい眼差しを感じながら、読み終えるのが惜しくなるような好著でした。(2002.9.23