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シュポール/シュルファスの時代
ニース〜パリ 絵画の革命1966〜1979

2000年1月29日(土)〜3月30日(木) 
東京都現代美術館
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出品者
シュポール/シュルファスの作家
アンドレ=ピエール・アルナル、ヴァンサン・ビウレス、ルイ・カーヌ、マルク・ドゥバド
ダニエル・ドゥズーズ、ノエル・ドラ、トニ・グラン、ベルナール・パジェス、
ジャン=ピエール・パンスマン、パトリック・セトゥール、アンドレ・ヴァランシ、クロード・ヴィアラ

同時代の関連作家
ピエール・ピュラグリオ、クリスチャン・ジャッカール、ジャン=ミッシェル・ムーリス、フランソワ・ルーアン


 シュポール/シュルファス。直訳すれば「支持体/表面」ということになる。最近では埼玉県立近代美術館で開催された「シュポール/シュルファス展」が記憶に新しいのだが、調べてみると1993年のことで、もう7年も前のこと。
 このグループははっきりとしたテーゼを持って結成されたわけではなく、パリと地方の作家たちとの交流により発生したような部分がある。従ってグループのメンバー自体も流動的でわずか4回の展覧会もほとんど分裂状態で開催されている。ただ、個々の作品を観ていくと表現行為を成立させる要素をしっかりと問い直したものが多く、興味深い。1970年当時はイタリアで「アルテ・ポーヴェラ」、アメリカでは「ミニマル・アート」、日本では「もの派」など素材と表現行為を根底から問い直し、作品の成立要素を模索する動きが活発だった。

 展覧会全体の印象は彼等の実践してきた先鋭的な部分はほとんど感じることなく、むしろ穏やかな雰囲気。作品によっては、存在感さえも希薄なものも少なくない。模索しながらも、その後の展開を待たず分裂したのが残念。
 
作家の中で最も日本に知名度のあるのは「クロード・ヴィアラ」。主に鎌倉画廊が活発に紹介していたっけ。例の網目状のペインティングによって広く知られているが、彼の活躍によってパリ中心だったアートが南仏や周辺のアーティストに向けられたといえるだろう。ただし、今回の作品はあまり興味深いものはなかったが。

「パトリック・セトゥール」はギャラリー上田が一度交流展で紹介したことのある作家。既成の布地の折り目や焼き焦がしを見せているが、残念ながらそのコンセプトにはあまり新鮮さを感じさせない。

「ジャン・ピエール・バンスマン」も少し前日本の画廊が紹介していた作家だが、シュポール/シュルファスの中では珍しく作品のテクスチャーにこだわった作家。色彩も美しい。

「フランソワ・ルーアン」はグループのメンバーではないが、同時代に同じ様なコンセプトで活動した作家として紹介されていた。彼は3年前にセゾン美術館にて個展で紹介されている。その時は全く未知の作家であり、新鮮な感もあったのだが、どの作品を見ても全く印象が同じなので少し辟易した覚えがある。

 今回の作家で最も興味を持ったのはこのグループでは数少ない彫刻家である「ベルナール・パジェス」。実は7年前の展覧会でも強い印象を持った作家だった。今回は前回に比べ彼の作品にピッタリの空間であり、インスタレーションとしても素晴らしい。相反する素材と形態から成立した作品は不思議に調和しており、「自然と文化」という彼のテーマをはっきりと主張している。1960年代後半にヴィアラらと共に南仏のニースを中心に活動を開始したが、彼自身「シュポール/シュルファス」については批判的で地方主義を主張し、全て不参加を通して孤立して制作をした。1974年に「フランスの新しい絵画-実践/理論」展に招待されて発表を開始。1982年にはポンピドー・センターで回顧展が開催された。(2000.3.26)

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